はじめに
※ご本人の同意を得たうえで、個人が特定されないよう内容の一部を変更して掲載しています。
本記事は、交通事故後に当院へ来院された方の施術経過をご紹介するものであり、同様の症状に対する施術結果を保証するものではありません。
交通事故後の症状については、医療機関で適切な診察や検査を受けることが重要です。当院では医療機関での診断内容や症状の経過を確認しながら施術を行っています。
患者プロフィール
50代女性。
交通事故に遭われた約1週間後に、首や右肩、腰、左膝など、全身の痛みやしびれについて当院へご相談がありました。
交通事故の状況
車を運転していたところ、対向車が急に右折し、右前方から衝突されて負傷しました。
事故直後から身体のさまざまな部位に症状が現れ、歩行や着替え、立ち座りなどの日常生活にも大きな支障が出ていました。
ご相談内容と初回来院時の症状
初回来院時には、主に次の症状を訴えられていました。
- 安静にしていても感じる首の痛み
- 首を動かした際の痛みと可動制限
- 右肩関節の自発痛と動作時痛
- 腰部の自発痛と動作時痛
- 左膝関節の自発痛と動作時痛
- 右腕の痛みとしびれ
- 左股関節から臀部にかけての痛み
- 両脚に力が入りにくい感覚
- 歩行困難
- 頭痛
- 頭が重く感じる頭重感
特に首と腰は、後ろへ反らす動作や身体をひねる動作で痛みが強く、動かせる範囲も大きく制限されていました。
右上肢についても痛みとしびれが強く、握力測定では右側が0kgとなり、腕や手を使う動作が著しく困難な状態でした。
また、左脚をかばうような歩き方となり、跛行もみられました。
これらの症状によって、仕事や家事、移動、着替えなどの日常生活動作に著しい制限が生じていました。
身体の状態と評価
身体の状態を確認するため、症状に配慮しながら各部位の動きや筋肉の緊張、神経症状に関係する検査などを行いました。
首・右上肢の状態
ジャクソンテスト、スパーリングテスト、アドソンテストでは、症状がやや誘発されました。
また、上部頚椎と第6頚椎付近に、位置や動きの左右差が確認されました。
筋肉の状態では、次の部分に強い緊張と圧痛がみられました。
- 肩甲挙筋
- 後頭下筋群
- 斜角筋
- 僧帽筋
首を反らす動作や回旋動作では痛みが著明で、可動域も大きく制限されていました。
右腕の痛みやしびれ、握力低下もあったため、症状の変化を慎重に確認しながら施術を進める必要があると判断しました。
右肩関節の状態
右肩のインピンジメントテストでは陽性所見がみられました。
右肩関節周辺には位置や動きの左右差があり、肩を上げる動作などで強い痛みが出ていました。
特に次の筋肉や腱に、緊張と圧痛が著明にみられました。
- 三角筋
- 棘上筋
- 上腕二頭筋長頭腱周辺
腰部・骨盤周辺の状態
SLRテストでは下肢への症状は再現されませんでしたが、ケンプテストでは症状がやや誘発されました。
第5腰椎、仙腸関節、左股関節周辺には、位置や動きの左右差が確認されました。
腰部では、特に次の筋肉に強い緊張と圧痛がみられました。
- 多裂筋
- 最長筋
- 腰方形筋
- 左中殿筋
- 左大殿筋
腰を後ろへ反らす動作や身体をひねる動作で痛みが強く、立ち上がりや歩き始めにも支障がありました。
左膝関節の状態
左膝の外反ストレステストでは陽性所見がみられました。
左膝関節周辺に位置や動きの左右差が確認され、体重をかけた際や膝を動かした際に痛みが出ていました。
また、左大腿四頭筋にも強い緊張と圧痛がみられました。
これらの状態を総合し、交通事故による衝撃によって複数の関節や筋肉に負担がかかり、身体全体の動作に影響が出ている可能性を考えました。
身体の状態と施術方針をご説明し、ご本人の同意を得たうえで施術を開始しました。
初期の施術内容
施術開始直後は、事故から間もない急性期であり、首や肩、腰、膝を中心に広範囲の症状がみられました。
そのため、強い刺激や無理な矯正は避け、症状を悪化させないことを優先しながら施術を行いました。
主な施術内容は次のとおりです。
- 関節の動きを確認しながら行う柔道整復施術
- 身体の状態に応じた無理のない関節調整
- PNFを応用した神経筋への手技療法
- 筋肉の緊張を和らげる手技
- 電気療法
- 温熱や冷却など、症状に合わせた罨法
- 身体の動きを補助する運動機能テーピング
症状の強さや、その日の身体の状態を毎回確認し、刺激量を調整しながら施術を行いました。
自宅での過ごし方と生活指導
施術だけでなく、日常生活で患部に負担をかけすぎないことも重要です。
初期には、身体の状態に合わせて次の内容をお伝えしました。
- 入浴や罨法の方法
- 首や腰に負担をかけにくい姿勢
- 起き上がりや立ち上がりの動作方法
- 長時間同じ姿勢を続けないこと
- 痛みが強くなる動作を無理に行わないこと
- 家事や仕事を行う際の注意点
急性期は、無理に身体を動かしたり、自己判断で強いストレッチをしたりすることで症状が強くなることがあります。
そのため、症状の経過を確認しながら、段階的にセルフケアを追加しました。
施術開始から2週間の経過
最初の2週間は、週3回のペースで施術を行いました。
急性期にみられていた強い痛みは徐々に軽減しましたが、身体を動かし始める際の痛みや動作のしにくさは残っていました。
また、首や右肩、腰、左膝を中心に複数の症状が残っており、日常生活への支障も続いていたため、継続的な施術が必要な状態でした。
施術開始から2か月の経過
その後の約1か月半は、週2回のペースで施術を行いました。
急性症状が落ち着いてきた段階で、身体の動きや筋肉の連動を回復させるため、次の施術を追加しました。
- 動体療法を応用した施術
- 自然形体療法を応用した手技
- 関節や筋肉を動かす運動療法
- 姿勢と動作方法の指導
- 身体の状態に合わせたストレッチ
- 自宅で行う自己療法
施術後には痛みや身体の動かしにくさが軽減する傾向がみられました。
しかし、施術開始から約2か月が経過した時点でも、動き始めの痛みや、同じ姿勢を長く続けた際の痛みが残っていました。
そのため、症状を確認しながら施術を継続しました。
施術開始から4か月の経過
その後の約2か月間は、週1回のペースで施術を行いました。
症状の軽減に合わせて、日常生活や仕事へ復帰した際の負担を減らすことを目的に、次の内容を重点的に行いました。
- 就労時の姿勢指導
- 作業時の身体の使い方
- 呼吸法
- ストレッチ
- 関節の安定性を高めるトレーニング
- 左右の身体の使い方を整える運動
施術開始から約4か月後には、右肩関節を動かした際の痛みが消失し、日常動作にも支障がみられなくなりました。
右肩については、症状の消失と機能の回復を確認し、その部位に対する集中的な施術を終了しました。
最終月の経過
最後の1か月間は、10日に1回のペースで身体の状態を確認しました。
この時期には、痛みを和らげる施術だけでなく、症状を繰り返さないための身体の使い方を身につけることを重視しました。
主に次の内容を行いました。
- 重心位置を意識した姿勢指導
- 日常生活での動作方法
- ストレッチ
- アイソメトリック運動
- 関節や筋肉の安定性を高める自己療法
最終月には、左膝に体重をかけた際の痛みと、膝を動かした際の痛みが消失しました。
歩行時の支障もみられなくなったため、左膝についても症状の消失と機能回復を確認しました。
施術終了時の状態
施術終了時には、交通事故直後にみられていた強い症状の多くが軽減していました。
右肩と左膝については、動作時痛や荷重時痛が消失し、日常生活での支障もみられなくなりました。
首と腰についても、通常の日常生活を送るうえでは、ほぼ問題のない状態まで回復しました。
一方で、首や腰の一部には筋肉の硬さが残っており、筋肉が引き伸ばされた際の痛みや、同じ姿勢を長時間続けた際の痛みが時折みられました。
最終的には、ご本人と保険会社との話し合いによって示談が成立し、当院での施術を終了しました。
院長からのアドバイス
交通事故では、衝突の瞬間に身体へ大きな力が加わります。
今回のように右前方から衝突された場合、首や肩だけでなく、腰、骨盤、股関節、膝など、複数の部位に症状が現れることがあります。
また、事故直後は強い緊張や興奮状態にあるため、痛みをあまり感じず、数時間後や数日後から症状が強くなる場合もあります。
事故後に、
- 首や腰を動かすと痛い
- 腕や脚にしびれがある
- 手に力が入りにくい
- 頭痛や頭重感が続く
- 歩きにくい
- 吐き気やめまいがある
といった症状がある場合は、自己判断で様子を見続けず、できるだけ早く医療機関を受診することが重要です。
特に、手足に力が入りにくい、握力が著しく低下している、しびれが広がっているなどの神経症状がある場合は、速やかに医療機関へ相談してください。
交通事故後の症状は、痛みが一時的に軽減しても、身体を動かし始めたときや、長時間同じ姿勢を続けたときに再び現れることがあります。
痛みのある部分だけでなく、姿勢や重心、関節の動き、筋肉の緊張、仕事や日常生活での身体の使い方まで確認することが大切です。
症状の経過や施術への反応には個人差があります。
あらかじめ一律の期間や施術回数を決めるのではなく、医療機関での診断内容を踏まえ、その時点の身体の状態や日常生活への支障を確認しながら施術計画を調整していきます。





お電話ありがとうございます、
すがはら筋整骨院でございます。