はじめに
※ご本人の同意を得たうえで、個人が特定されないよう内容の一部を変更して掲載しています。
本記事は一つの施術経過をご紹介するものであり、同様の症状に対する施術結果を保証するものではありません。
脊柱管狭窄症の診断や手術の必要性については、医療機関の判断が必要です。当院では医療機関での診断内容を踏まえ、身体の状態を確認したうえで施術を行っています。
患者プロフィール
70代男性。
現在は退職されていますが、若い頃は教師として勤務されていました。
以前から腰痛に悩まされており、若い頃から何度もぎっくり腰を繰り返していたとのことです。
ご相談内容と初回来院時の状態
約8年前から、歩くと腰に痛みが出て、右下肢にしびれを感じるようになりました。
歩ける距離は50メートル程度で、腰の痛みと右脚のしびれが強くなるため、途中で立ち止まらなければならない状態でした。
一方で、座ったり横になったりすると症状が楽になるとのことでした。
歩行や外出が思うようにできず、日常生活にも大きな支障が出ていました。
特につらかったのは、旅行に行けないことです。
「旅行には行きたいけれど、歩けなくなって周りの人に迷惑をかけるのが心配で、近場にも出かけられない」
と悩まれていました。
これまでに整形外科をはじめ、整骨院、整体院、マッサージなどへ通われましたが、ご本人が期待するような変化は得られなかったとのことです。
整形外科では脊柱管狭窄症と診断され、手術を勧められましたが、ご本人は手術を希望されていませんでした。
手術以外の方法で、少しでも歩きやすい身体を取り戻したいという思いから、当院へご相談いただきました。
身体の状態と評価
姿勢や身体の動き、骨盤・腰椎・股関節周辺の状態を確認したところ、骨盤に強い歪みの癖がみられました。
また、腰椎周辺の動きが少なく、腰を反らせた姿勢が強い、いわゆる反り腰が目立っていました。
筋肉の状態では、主に次の部分に強い緊張、硬結、圧痛がみられました。
- 背骨の深部にある多裂筋
- 骨盤周辺の中殿筋・小殿筋
- 大腿筋膜張筋
- 太ももの前側にある大腿直筋
腰部だけでなく、骨盤や股関節、太もも周辺の筋肉にも強い緊張があり、立っているときや歩行時に腰へ負担が集中しやすい状態と考えられました。
骨の変形や脊柱管内部の状態そのものを、当院の施術によって元に戻すことは困難です。
そのことをご説明したうえで、反り腰や骨盤・股関節の動きを整え、周辺の筋緊張を和らげることで、歩行や日常生活への負担を軽減できる可能性があるとお伝えしました。
ご本人にも施術方針をご理解いただき、同意を得たうえで施術を開始しました。
施術内容
初期は、腰部や右下肢にかかる負担を軽減し、少しずつ歩きやすい身体の状態をつくることを目的に施術を行いました。
主な施術内容は次のとおりです。
- 骨盤と股関節の位置や動きを整える施術
- 腰椎周辺の動きを確認しながら行う調整
- 腰部・臀部・股関節周辺の筋緊張を和らげる施術
- 腰が過度に反らないようにする反り腰への調整
- 腹筋や骨盤底筋の働きを促す運動療法
- 歩行時の身体の動きを補助する運動機能テーピング
長期間続いている症状であったため、強い刺激を加えるのではなく、その日の症状や身体の反応を確認しながら刺激量を調整しました。
来院頻度と施術計画
施術開始から最初の1か月間は、週2回のペースで施術を行いました。
2か月目から4か月目までは、週1回のペースで施術を継続しました。
5か月目以降は、身体の状態を確認しながら、10日に1回のペースへ変更し、約2か月間継続しました。
症状の変化だけでなく、姿勢や筋肉の緊張、歩行時の身体の使い方などを確認しながら、段階的に来院間隔を調整しました。
施術後の経過
施術開始から1か月
施術開始から1か月ほどで、腰部や骨盤周辺の筋肉の緊張には少しずつ変化がみられました。
しかし、歩行時の腰痛や右下肢のしびれは残っており、ご本人がはっきりと変化を実感できる段階ではありませんでした。
症状が長期間続いていたため、焦らずに身体の変化を確認しながら施術を継続しました。
施術開始から2か月
2か月目に入ると、ご本人の申告では、歩行時に感じる腰の痛みや右下肢のしびれが、少しずつ軽くなってきました。
ただし、歩ける距離には日によって差があり、体調によっては症状が強く出ることもありました。
施術開始から3か月
施術開始から約3か月が経過した頃から、目立っていた反り腰に変化がみられるようになりました。
骨盤や股関節周辺の動きも以前より滑らかになり、ご本人の申告では、歩行時の腰痛と右下肢のしびれが大きく軽減しました。
この時期から、続けて歩ける距離も少しずつ伸び、日常生活での行動範囲が広がっていきました。
施術開始から5か月以降
症状が安定してきたため、来院間隔を10日に1回へ変更しました。
歩行時の痛みやしびれはほとんど気にならなくなり、外出に対する不安も軽減していきました。
その後は、身体の状態を確認しながら、さらに来院間隔を延ばしていきました。
現在の状態
現在は、月1回のペースで身体のメンテナンスを継続されています。
ご本人によると、歩いているときの右下肢のしびれや強い腰痛はなく、日常生活にも大きな支障は出ていません。
時折、軽い腰痛を感じることはありますが、以前のように歩けなくなるほどの状態ではないとのことです。
そして、以前から希望されていた海外旅行にも行くことができました。
帰国後には、
「周りに迷惑をかけることなく旅行を楽しめました」
とうれしそうにお話しくださいました。
長い間、歩くことや旅行を諦めていた方が、再び行きたい場所へ出かけられたことは、私たちにとってもうれしいご報告でした。
院長からのアドバイス
今回の方は、約8年間にわたり、歩行時の腰痛と右下肢のしびれに悩まれていました。
脊柱管狭窄症と診断されている場合でも、すべての症状が骨の変形や脊柱管内部の状態だけによって起きているとは限りません。
骨盤や股関節の動き、反り腰、腰部・臀部・太もも周辺の筋緊張などが重なることで、歩行時の負担がさらに大きくなっていることがあります。
今回の施術でも、骨の変形そのものを改善させることを目的としたのではありません。
骨盤・腰椎・股関節周辺の動きを整え、筋肉の緊張を和らげ、腹部や骨盤周辺の筋肉が働きやすい状態をつくることで、歩行時の負担軽減を目指しました。
長年続いている症状は、数回の施術ですぐに変化するとは限りません。
今回も、最初の1か月は筋肉の緊張に変化がみられたものの、痛みやしびれは残っていました。
その後、施術と運動療法を継続し、反り腰や身体の使い方に変化がみられるようになったことで、ご本人が実感できる症状の軽減につながりました。
現在は症状が安定していますが、再び腰部への負担が蓄積しないよう、月1回のメンテナンスを継続しています。
調子が良いときほど油断せず、ご自宅での運動や姿勢にも注意していただきながら、今後も経過を確認していく予定です。
なお、脚に力が入りにくい、しびれが急に強くなる、排尿・排便に異常がみられるなどの症状がある場合は、施術所だけで判断せず、速やかに医療機関へ相談することが重要です。
症状の経過や施術に対する反応には個人差があります。一律の期間や回数を決めるのではなく、身体の状態をその都度確認しながら施術計画を調整していきます。





お電話ありがとうございます、
すがはら筋整骨院でございます。