妊娠6か月で強くなった腰痛と右臀部痛|30代女性のマタニティ整体の施術経過

はじめに

※ご本人の同意を得たうえで、個人が特定されないよう内容の一部を変更して掲載しています。

本記事は、一人の患者さまの施術経過をご紹介するものであり、同様の症状に対する施術結果を保証するものではありません。

妊娠中の腰痛や臀部・骨盤周辺の痛みには、妊娠に伴う身体の変化だけでなく、さまざまな原因が考えられます。

当院では、妊娠の経過や産婦人科での受診状況を確認したうえで、施術が可能と判断した場合に、母体とお腹の赤ちゃんに負担をかけない姿勢と刺激量で施術を行っています。

出血や発熱、強い腹痛、お腹の規則的な張り、破水が疑われる症状などがある場合には施術を行わず、産婦人科への相談を優先しています。

患者プロフィール

30代女性。

事務作業を中心とした仕事に従事されており、今回が初めての妊娠でした。

当院へ初めて来院された時は、妊娠6か月でした。

主なご相談は、妊娠してから徐々に強くなってきた腰痛と、右のお尻から太ももにかけての痛みでした。

来院までの経緯

高校生の頃は、バレーボール部に所属されていました。

練習量も多く、当時は時々ぎっくり腰のような強い腰痛を起こし、その際には整形外科を受診していたそうです。

成人してからは、高校時代ほど激しい腰痛はありませんでした。

ただ、寝不足が続いた時や身体に疲れがたまった時には、腰の重さや軽い痛みを感じることが時々ありました。

そのような状態で初めての妊娠を迎えました。

妊娠6か月で強くなった腰痛と右臀部痛

妊娠4か月頃から腰痛が出現

妊娠初期は、腰について大きな問題はありませんでした。

ところが妊娠4か月を過ぎた頃から、朝起き上がる際などに腰の痛みを感じるようになりました。

最初は、

「妊娠しているから、このくらいは仕方がないのかな」

と思っていたそうです。

しかし、妊娠5か月を過ぎる頃になると、起床時や椅子から立ち上がる際など、身体を動かし始める時の腰痛が強くなってきました。

産婦人科を受診した際に腰痛について相談したところ、ご本人によると、その時点では特別な検査や薬物治療は行わず、自宅で行える軽い体操を教えてもらったとのことでした。

その後も様子をみていましたが、症状は徐々に強くなっていきました。

来院1週間前から右臀部・太ももにも痛み

特に困るようになったのが、初回来院の約1週間前からでした。

それまでは腰を中心とした痛みでしたが、右のお尻にも強い痛みを感じるようになり、立っている時間が長くなると、右太ももまで痛みが広がるようになりました。

「このまま妊娠が進んだら、もっと痛くなるのではないか」

という不安もありました。

しかし、妊娠中ということもあって、

「普通の整体やマッサージに行って大丈夫なのか分からない」

「妊婦だと断られるのではないか」

「強いことをされるのは怖い」

という気持ちがあり、どこにも相談できずにいたそうです。

インターネットで「妊娠中 腰痛 整体」などを検索する中で当院を知り、マタニティ整体を行っていることを確認して来院されました。

最も困っていた症状

初回来院時、特につらかったのは「動き始め」と「立っている時」の痛みでした。

具体的には、

  • 朝、布団から起き上がる時
  • 仕事中、椅子から立ち上がる時
  • 座った状態から歩き始める時
  • 通勤電車で立っている時
  • 長時間立位を続けた時
  • 駅から会社まで歩く時

などに症状が強く出ていました。

仕事中に椅子から立とうとすると腰から右臀部に強い痛みが走り、一度身体を伸ばしてからでなければ歩き出しにくい状態でした。

また、通勤電車で立っていると、腰から右臀部、さらに右太ももまで痛みが広がりました。

電車を降りた後、会社まで約5分歩くだけでもつらく、

「たった5分なのに、会社まで歩くのがキツいです」

と話されていました。

初回来院時の状態・姿勢分析

妊娠6か月で強くなった腰痛と右臀部痛|30代女性のマタニティ整体の施術経過

最初に、妊娠週数や産婦人科での経過、日常生活での症状について詳しくお聞きしました。

そのうえで、妊娠中の身体に負担をかけない範囲で、立位姿勢、歩行、立ち上がり動作、骨盤・股関節周辺の動きを確認しました。

特に、椅子からの立ち上がりや歩き始めで、腰から右臀部にかけての症状が強く出ていました。

また、妊娠による身体の変化に伴い、立っている時の重心や姿勢にも変化がみられ、腰部・臀部・股関節周辺へ負担が集中しやすい状態でした。

腰部、右臀部、股関節周辺には筋肉の緊張がみられ、下肢では内転筋群をはじめ、骨盤や股関節の動きに関係する筋肉にも緊張がみられました。

高校時代から腰痛を繰り返していたこともあり、以前からの腰部・骨盤周辺の身体の使い方の癖に、妊娠による姿勢や重心の変化が加わった可能性を考えました。

ただし、妊娠中の腰痛や臀部・大腿部の痛みの原因を、骨盤のゆがみや筋肉だけに限定することはできません。

身体の状態と施術可能な範囲をご説明し、ご本人の同意を得て施術を開始しました。

施術方針

最初の目標は、「安産のための整体」を行うことではありませんでした。

まず、

「通勤や仕事、日常生活に支障が出ている腰・臀部の痛みを少しでも軽くし、妊娠生活を楽に過ごせる身体をつくること」

を優先しました。

特に次の点を重視しました。

  • 腰部・臀部の強い筋緊張を和らげる
  • 骨盤と股関節が動きやすい状態をつくる
  • 立ち上がりや歩行時の腰への負担を軽減する
  • 妊娠によって変化した重心を支えやすくする
  • 肩甲骨から背骨、骨盤まで身体全体の連動を整える
  • 妊娠週数が進んでも身体に過度な負担が集中しにくい状態を目指す

妊娠中であるため、うつ伏せでの施術や、強い力を加える矯正は行わない方針としました。

施術内容

横向きでの施術

施術は主に横向きと仰向けで行いました。

まず横向きの状態で、DRTの考え方を応用した軽い揺動刺激を用い、背骨周辺の過度な筋緊張を和らげました。

妊婦さんの場合、お腹へ圧迫を加えないことを最優先し、心地よく受けられる姿勢と刺激量で行います。

骨盤・股関節周辺への施術

次に、骨盤と股関節周辺の動きを確認しながら、腰部や臀部の筋肉に対して無理のない手技を行いました。

「骨盤を強く締める」という施術ではなく、妊娠に伴う身体の変化を妨げない範囲で歪みを調整し、骨盤周囲の筋肉が身体を支えやすい状態を目指しました。

右臀部を中心に緊張している筋肉を緩めながら、股関節を動かしやすくしていきました。

肩甲骨・背骨への施術

腰痛だからといって、腰だけを施術するわけではありません。

妊娠によってお腹が大きくなってくると、身体全体の重心や姿勢も変化します。

そこで、骨盤と連動して動く背骨や肩甲骨周辺にも施術を行い、上半身を含めて身体全体が動きやすい状態を目指しました。

仰向けでの施術

仰向けでは、股関節や恥骨周辺に負担をかけない範囲で可動性を確認し、下肢の筋肉、特に内転筋群の過度な緊張を和らげました。

また、足関節の動きも確認し、立った時に身体を支えやすい状態になるよう調整しました。

妊娠中期以降は、長時間仰向けになることで気分が悪くなる方もいるため、仰向けの施術は必要な範囲にとどめ、ご本人の体調を確認しながら行いました。

違和感や息苦しさ、めまいなどがあれば、すぐに横向きへ変更します。

最初の来院計画

初回来院時は、通勤や仕事にも影響するほど痛みが強かったため、

「痛みが強い間だけでも、可能であれば週2回程度来院してください」

とお伝えしました。

ただし、妊娠中の身体の状態をみながら、その都度来院頻度を調整する方針としました。

初回施術後の変化

初回施術後、ご本人の申告では、椅子から立ち上がった際の腰と右臀部の痛みが大きく軽減していました。

「立つ時がさっきよりかなり楽です」

と変化を感じていただけました。

ただし、1回の施術で症状が軽減したからといって、身体の状態が安定したと判断したわけではありません。

妊娠はこれからさらに進み、お腹も大きくなっていく時期です。

そのため、最初だけ週2回、その後は身体の状態を確認しながら、可能な限り週1回程度の来院をお願いしました。

施術開始から約1か月後

3回目以降は、週1回程度のペースで施術を継続しました。

施術開始から約1か月が経過した頃には、ご本人の申告では、腰や右臀部の強い痛みはほとんど感じなくなっていました。

起床時や椅子からの立ち上がりもスムーズになり、通勤電車や駅から会社までの歩行も、以前のように痛みを強く意識することが少なくなりました。

日常生活への支障が大幅に減ったため、この段階から施術の目的を少しずつ変えていきました。

腰痛への施術からマタニティ整体へ

痛みが落ち着いてからは、当院で「マタニティ整体(安産整体)」と呼んでいる妊娠期の身体ケアへ移行しました。

これは「施術をすれば必ず安産になる」という意味ではありません。

妊娠後半をできるだけ快適に過ごせるように、骨盤や股関節周辺の安定性と柔軟性、姿勢、身体の使い方を整えていき、出産時に体の負担をかけにくくすることを目的としています。

妊娠が進むにつれて変化する骨盤周囲を無理に固定するのではなく、身体を支える筋肉を働きやすくすると同時に、股関節や恥骨周辺が無理なく動ける状態を目指しました。

また、お腹の赤ちゃんの位置を外力によって変えることを目的とするのではなく、お母さん自身が楽に呼吸し、動き、休める姿勢をつくることを重視しました。

妊娠後半は、その日の体調やお腹の状態を毎回確認しながら施術を継続しました。

妊娠9か月までの経過

妊娠週数が進むにつれて、時々軽い腰痛を感じることはありました。

しかし、初回来院時のように、

  • 椅子から立てないほど痛い
  • 通勤電車で立っているのがつらい
  • 右臀部から太ももまで強く痛む
  • 数分の歩行がつらい

といった状態には戻らず、日常生活を送るうえでは大きな支障なく過ごされていました。

妊娠9か月になり産休へ入り、その後は里帰り出産のため熊本を離れることになりました。

そのため、妊娠中の施術はこの時点で終了しました。

里帰り前にお伝えしたこと

最後の施術時には、ご自宅でも無理なく行える簡単な体操と、妊娠後半の身体の使い方についてお伝えしました。

特に、

  • 長時間同じ姿勢を続けない
  • 痛みが出る動きを無理に繰り返さない
  • 立ち上がる時は急に身体を起こさない
  • 立位では左右均等に体重をかける
  • 疲れたら無理をせず休む
  • 痛みの出ない範囲で身体を動かす

ことを意識していただきました。

また、出産後に熊本へ戻られ、身体の状態が落ち着いたら、産後の身体を改めて確認することをご提案しました。

出産後のご報告

その後、無事に出産されました。

出産当日には、ご本人からLINEで、

「無事に生まれました!」

とうれしいご報告をいただきました。

出産そのものも順調だったとのことでした。

マタニティ整体を受けたことによって、出産が順調になったと断定することはできませんが、私たちもうれしく思いました。

産後3か月で再来院

出産から約3か月後、お子さまと一緒に再び来院していただきました。

今度はマタニティ整体ではなく、産後骨盤整体として身体の状態を確認しました。

産後は約3か月間にわたり、

  • 腹部周辺のスタイル
  • 臀部周辺のスタイル
  • 骨盤・股関節周辺の状態
  • 出産後の姿勢
  • 育児による身体への負担

などを確認しながら施術を行いました。

ご本人にも身体の変化を実感していただき、喜んで産後の施術を終了することができました。

経過のまとめ

今回のマタニティ整体は、妊娠6か月で強い腰痛と右臀部・大腿部の痛みが出ていた時期からスタートしました。

初回来院時には通勤や仕事にも支障が出ていましたが、施術開始から約1か月後には強い痛みはほとんど気にならない状態となりました。

その後も妊娠9か月まで身体の状態を確認し、時々軽い腰痛はみられたものの、日常生活に大きな支障が出ることなく里帰り出産を迎えることができました。

出産後には産後骨盤整体でも来院され、妊娠期から産後まで継続して身体を確認することができた症例です。

院長からのアドバイス

妊娠中に腰痛が起きても

「妊娠しているから仕方がない」

「出産するまで我慢するしかない」

と思っている方は少なくありません。

しかし、妊娠中の腰痛や骨盤周辺の痛みには、身体の使い方、姿勢、骨盤・股関節周辺の筋肉の働きなどが関係している場合があります。

今回の方も、妊娠前から腰痛を経験しており、妊娠によって身体の重心や姿勢が変化する中で、腰から右臀部、太ももまで痛みが広がっていました。

妊娠中だからといって、痛みをすべて我慢しなければならないわけではありません。

一方で、妊婦さんへの施術は、妊娠していない方と同じように行ってよいわけでもありません。

妊娠週数、母体や赤ちゃんの状態、産婦人科での経過を確認し、お腹を圧迫しない姿勢で、無理のない刺激を選ぶことが大切です。

また、腰痛や臀部痛だと思っていても、妊娠中には産婦人科での確認を優先すべき症状があります。

特に、

  • 性器出血
  • 破水が疑われる症状
  • 規則的または強い腹痛・お腹の張り
  • 発熱
  • 急激に強くなった腰痛や骨盤痛
  • 脚に強いしびれや力の入りにくさがある
  • 強い頭痛や視覚の異常
  • 体調が急激に変化した

といった場合は、整体や整骨院へ行く前に、かかりつけの産婦人科へ相談してください。

当院のマタニティ整体(安産整体)は、「施術を受ければ必ず安産になる」というものではありません。

妊娠期間を少しでも快適に過ごし、腰や骨盤周辺への負担を軽減しながら、出産に向けて動きやすい身体の状態を保つことを目的として行っています。

妊娠中の身体は一人ひとり違います。

当院では、その日の体調や妊娠週数、産婦人科での経過を確認しながら、無理のない範囲で施術計画を調整しています。

すがはら筋整骨院