はじめに
※ご本人の同意を得たうえで、個人が特定されないよう内容の一部を変更して掲載しています。
本記事は、一人の患者さまの施術経過をご紹介するものであり、同様の症状に対する施術結果を保証するものではありません。
肩こりや頭痛にはさまざまな原因があります。当院では、施術所で対応できる状態かを確認し、必要に応じて整形外科や脳神経内科などの医療機関への受診をご案内しています。
患者プロフィール
40代女性。
事務作業を中心とした仕事に従事され、高校生の娘さんを育てながら、仕事と家庭を両立されています。
職場の上司が以前から当院を知っており、その方から紹介されて来院されました。
来院までの経緯
約10年前、軽い交通事故に遭い、いわゆる「むち打ち」の状態を経験されました。
その頃から肩こりを感じるようになり、年数が経過するにつれて、首や肩のつらさが少しずつ強くなったそうです。
ただし、現在の肩こりが10年前の交通事故だけによって起きていると断定することはできません。
事故後から続いている首の動きの癖に加えて、長時間の事務作業、姿勢、筋肉の緊張、疲労など、複数の要因が重なっている可能性が考えられました。
また、雨が降る前や気圧が急に変化する時には、頭痛も起きるようになっていました。
最も困っていた症状
起きた直後は、それほど強い肩こりを感じていませんでした。
しかし、仕事を始めて時間が経つにつれて、首、肩、背中の張りが強くなり、筋肉がこわばっていきました。
夕方頃になると、
「首から背中まで、鉄板が入っているようにカチカチになります」
と表現されるほど、強い肩こりを感じていました。
仕事中も首や肩のつらさが気になり、集中しにくくなることがあったそうです。
湿布を貼ったり、塗り薬を使用したりしていましたが、ご本人が期待するような変化はみられませんでした。
さらに、気圧が変化する時には頭痛が起こることもあり、肩こりと頭痛の両方に悩まれていました。
これまでに受けた治療
整形外科
整形外科では「ストレートネック」と言われ、湿布と薬を処方されたとのことです。
しばらく使用しましたが、肩こりの変化をあまり感じられなかったため、通院をやめたそうです。
マッサージ
月1~2回のペースで、約2か月間マッサージにも通いました。
施術を受けた直後は楽になったように感じましたが、翌日には再び同じような肩こりが現れていました。
また、強く揉まれた後に、揉み返しのような痛みを感じることもあったそうです。
整体
別の整体院にも行きましたが、首や背中をボキボキと鳴らす施術が怖く、1回で通うのをやめました。
その後、職場の上司から当院を紹介されました。
当院のホームページを詳しく確認し、最初は半信半疑ながらも、
「ここなら一度相談してみよう」
と思い、来院されたとのことです。
初回来院時の状態
初回来院時には、安静にしていても首から肩にかけて重さがあり、仕事中の姿勢を再現すると首、肩、背中の緊張がさらに強くなりました。
特に、長時間パソコンに向かった後のような姿勢では、頭が前へ出て、両肩が内側へ入りやすい状態でした。
また、首を動かす際には、左右の動きに差がみられました。
交通事故を経験した頃から続いていると考えられる頚椎周辺の動きの癖もあり、首だけでなく、背中や肩甲骨の動きにも影響が及んでいました。
肩こりの感じ方について確認すると、首の付け根、肩の上部、肩甲骨の内側を中心に、強い張りと硬さを感じていました。
検査・姿勢分析
姿勢や首・肩の動きを確認したところ、主に次のような状態がみられました。
- 前方頭位
- 巻き肩
- 猫背姿勢
- 頚椎の動きの左右差
- 脊柱側弯
- 肩甲骨の位置と動きの左右差
- 骨盤の位置や重心の左右差
筋肉の状態では、首から肩、背中にかけて強い緊張、硬結、圧痛がみられました。
特に緊張が目立っていたのは、次の部分です。
- 後頭下筋
- 僧帽筋上部
- 肩甲挙筋
- 頭・頚板状筋
- 斜角筋
- 大・小菱形筋
- 小胸筋
首や肩だけでなく、骨盤や脊柱、肩甲骨周辺の動きも低下しており、身体全体を緊張させながら頭や上半身を支えている状態でした。
身体の状態についての説明
整形外科で「ストレートネック」と言われたことを気にされていましたが、当院では、首の形だけで肩こりの原因を決めつけないようにしています。
今回の方については、次のような要素が重なり、仕事を続けるにつれて首・肩・背中への負担が大きくなっている可能性を考えました。
- 以前の交通事故後から続く頚椎の動きの癖
- 長時間の事務作業
- 頭が前へ出た姿勢
- 巻き肩と猫背
- 肩甲骨や背骨の動きの低下
- 首・肩・背中の強い筋緊張
- 仕事や家庭による疲労の蓄積
痛みを感じる肩だけを揉むのではなく、頚椎、肩甲骨、背骨、骨盤を含めて身体全体の動きを整え、首や肩に負担が集中しにくい姿勢を目指す必要があるとご説明しました。
ご本人に施術方針をご理解いただき、同意を得たうえで施術を開始しました。
施術方針
背骨・骨盤周辺への施術
最初に伏臥位で、骨盤から背骨、頚椎にかけての動きと筋肉の緊張を確認しました。
DRTを応用した軽い揺動刺激を用い、背骨や骨盤周辺の過度な緊張を和らげました。
強い力で押したり、急激に身体をひねったりせず、身体の反応を確認しながら穏やかに行いました。
肩甲骨・胸椎周辺への施術
側臥位で、肩甲骨周辺の筋肉を緩め、肩甲骨が動きやすくなるように調整しました。
同時に胸椎や肋骨周辺の動きを整え、背中が丸くなり、肩が内側へ入りやすい姿勢の改善を図りました。
首・肩周辺への施術
仰臥位で、頚椎の位置や動きの左右差を確認しながら、無理のない範囲で調整しました。
後頭部、首の付け根、肩の上部など、緊張が強い部分に対しては、強く揉み込まず、筋肉が緩みやすい刺激量で施術しました。
姿勢と動作の指導
施術だけでなく、仕事中の姿勢や身体の使い方についてもお伝えしました。
特に、長時間同じ姿勢を続けないこと、頭を前へ突き出したまま作業しないこと、肩をすくめた状態でキーボードを操作しないことなどを意識していただきました。
ご自宅では、無理なく行える首・肩・肩甲骨周辺の体操を指導しました。
来院計画
仕事と家庭の事情があり、集中的な来院は難しいとのことでした。
そのため、最初の2か月間は週1回を目標に施術を行う計画をご提案しました。
実際には、仕事やご家庭の予定によって来院できない週もあり、月3回程度のペースになりました。
予定どおりに来院できないことを負担に感じないよう、ご本人の生活に合わせながら施術を継続しました。
施術開始から1か月の経過
施術開始直後は、施術後に首や肩が軽く感じられても、仕事が忙しい日には再び筋肉の張りが強くなることがありました。
長年続いていた肩こりであり、仕事中の身体への負担も続いていたため、短期間で症状がなくなる状態ではありませんでした。
それでも施術を継続するにつれて、以前よりも首や肩が楽に感じられる時間が少しずつ長くなっていきました。
施術開始から2か月の経過
約2か月が経過した頃には、ご本人の申告では、気圧が変化した時に起きていた頭痛を感じなくなっていました。
肩こりについても、以前は仕事を始めて早い時間から強くなっていたものが、夕方頃までは気になりにくくなりました。
夕方になると首や肩の張りを感じることはありましたが、
「以前のように、一日中鉄板が入っている感じではなくなりました」
と話されていました。
頭痛が現れなくなったことについても、施術だけの影響とは断定できませんが、ご本人にとって大きな変化でした。
施術開始から3か月の経過
3か月が経過した頃には、姿勢にも変化がみられるようになりました。
初回来院時に目立っていた前方頭位や巻き肩が軽減し、立った時や座った時の上半身が以前よりも自然に起きるようになりました。
ご本人も姿勢の変化を感じていましたが、特にうれしかったのは、高校生の娘さんから、
「お母さん、若返ったね」
と言われたことだったそうです。
肩こりが楽になったことに加えて、家族から見た印象まで変わったことを、とてもうれしそうに報告してくださいました。
その後の経過
仕事が忙しくなり、施術を優先して来院することが難しくなったため、その後は月2回程度のペースへ変更しました。
来院間隔が空いても、以前のように日常的な肩こりで悩むことは少なくなりました。
仕事が特に忙しい日や、長時間の事務作業が続いた時には、首や肩の張りを感じることがありましたが、ご本人が対処できる程度に収まっていました。
現在の状態
現在は、普段の生活で肩こりを強く意識することは少なくなり、ご本人も現在の状態に満足されています。
施術開始から5か月目以降は、何らかの症状が出た時に来院するか、状態確認のために2か月に1回程度来院されています。
毎月必ず通わなければならない状態ではなく、ご本人の生活や体調に合わせて来院間隔を調整できるようになりました。
院長からのアドバイス
肩こりは、首や肩の筋肉だけに問題があるとは限りません。
長時間同じ姿勢を続けること、頭が前へ出た姿勢、肩甲骨や背骨の動き、運動不足、精神的な緊張など、さまざまな要素が関係することがあります。
日本整形外科学会でも、肩こりへの対応として、同じ姿勢を長く続けないこと、適度な運動や体操、入浴などで身体を温めることなどが紹介されています。明らかな原因疾患がある場合は、その治療が必要です。
今回の方は、10年前の交通事故を経験した頃から肩こりを感じ始め、その後の事務作業や姿勢、身体の使い方が重なることで、症状が徐々に強くなっていました。
一時的に肩を揉んで楽にするだけでなく、頚椎、背骨、肩甲骨、骨盤の動きや、仕事中の姿勢まで確認することが大切でした。
また、長期間続いている肩こりは、数回の施術ですべて解決するとは限りません。
今回も仕事や家庭の事情によって予定どおりに来院できないことがありましたが、ご本人が無理なく継続できるペースで施術を行うことで、少しずつ症状と姿勢に変化がみられました。
ただし、肩こりに加えて次のような症状がある場合は、施術所だけで判断せず、医療機関へ相談してください。
- 腕や手のしびれ、筋力低下
- 手先が動かしにくい
- 歩きにくさやふらつき
- 発熱や強い倦怠感
- 胸の痛みや息苦しさ
- 突然起きた、これまでに経験したことのない激しい頭痛
- 言葉が出にくい、手足に力が入らないなどの症状
突然の激しい頭痛や、しびれ・麻痺などを伴う頭痛については、脳神経外科や脳神経内科などで速やかに診察を受ける必要があります。
当院では、症状の強さや生活環境、来院できる頻度を確認し、その方が無理なく続けられる施術計画をご提案しています。
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