※ご本人の同意を得たうえで、個人が特定されないよう内容の一部を変更して掲載しています。
本記事は、一人の患者さまの施術経過をご紹介するものであり、同様の症状に対する施術結果を保証するものではありません。
頭痛にはさまざまな原因があり、施術所での身体評価だけでは原因を判断できない場合があります。当院では症状の経過を確認し、必要に応じて医療機関の受診をご案内しています。
患者プロフィール
40代女性。
デスクワークを中心とした仕事に従事されており、通勤には片道約20分、車を運転されています。
ご家庭では、小学生と中学生のお子さまを育てていらっしゃいます。
当院へ通院中の職場の同僚から、
「肩こりや猫背について身体をみてもらっている」
という話を聞き、ご紹介で来院されました。
ご相談内容
最もお困りだったのは、中学生の頃から続いている肩こりと、月に4~5回ほど起こる頭痛でした。
これまでに頭痛外来を受診し、緊張型頭痛や片頭痛と診断されたことがあり、頭痛薬を処方されていました。
薬を服用すると頭痛が軽くなるときもあれば、あまり変化を感じられないときもあったそうです。
また、以前に心療内科の受診を勧められた経験があり、そのこともあって、
「できれば、あまり病院には行きたくない」
というお気持ちをお持ちでした。
頭痛が起こりやすい状況
頭痛は、特に次のような時期や天候で起こりやすいとのことでした。
- 季節の変わり目
- 梅雨の時期
- 雨が降る前日
- 仕事や家事で疲れがたまったとき
- 首や肩のこりが強くなったとき
痛みは後頭部や側頭部に現れることが多く、時には目の奥にも痛みを感じていました。
頭痛が強くなると、吐き気やめまいを伴うことも少なくありませんでした。
来院1週間前に起きた強い症状
初回来院の約1週間前には、普段よりも強い症状が現れていました。
頭痛と吐き気に加えて、下を向くとめまいが起こり、身体を起こして座っていることも難しい状態だったとのことです。
このように、これまでとは異なる強い頭痛やめまい、吐き気が現れた場合は、頭痛外来、脳神経内科、脳神経外科などの医療機関で適切な評価を受けることが重要です。
今回も、施術によってすべての頭痛に対応できるわけではないことや、症状の変化によっては再度医療機関を受診する必要があることをご説明しました。
そのうえで、現在の身体の状態を確認しました。
初回来院時の姿勢
姿勢分析を行ったところ、主に次の特徴がみられました。
- 頭が身体より前方へ出た前方頭位
- 両肩が内側へ入る巻き肩
- 背中が丸くなった猫背姿勢
- 背骨の軽度な左右差
- 骨盤の位置や動きの左右差
長時間のデスクワークや車の運転では、頭が前へ出て背中が丸くなりやすく、首や肩の筋肉に負担がかかります。
今回の方も、頭の位置を支えるために首から肩にかけての筋肉が過度に緊張しやすい状態でした。
首・肩周辺の状態
首や肩周辺の筋肉を確認したところ、特に次の部分に強い緊張、硬結、圧痛がみられました。
- 後頭下筋群
- 肩甲挙筋
- 頭板状筋
- 頚板状筋
- 僧帽筋
後頭下筋群は、頭と首の境目にある深部の小さな筋肉です。
頭が前方へ出た姿勢が続くと、前へ倒れようとする頭を支えるために、後頭部から首にかけての筋肉へ負担が集中しやすくなります。
今回の方も、後頭部を触れると強い圧痛があり、首を動かせる範囲にも制限がみられました。
ただし、筋肉の緊張や姿勢だけが片頭痛や緊張型頭痛の原因であると断定することはできません。
身体の状態を確認したうえで、首や肩への負担を減らすことが、症状を管理するための一つの方法になる可能性があると考えました。
全身の状態
首や肩だけでなく、背骨、骨盤、上肢、下肢にも筋肉の緊張や動きの左右差がみられました。
また、腹部周辺にも強い緊張があり、呼吸が浅く、胸やお腹が十分に動きにくい状態でした。
デスクワーク中に身体を緊張させる癖もあり、首や肩だけを部分的に施術しても、再び負担が集中する可能性が考えられました。
そのため、痛みを感じている後頭部や首、肩だけでなく、次の部分を含めて全身の状態を整える方針をご説明しました。
- 骨盤と背骨の位置や動き
- 股関節の動き
- 肩甲骨周辺の動き
- 首の深部筋群の緊張
- 腹部周辺の緊張
- 呼吸の深さ
- 座り姿勢や頭の位置
ご本人に身体の状態と施術方針をご理解いただき、同意を得たうえで施術を開始しました。
施術方針
今回の施術では、単に頭痛が起きている部分を刺激するのではなく、頭や首に負担が集中しにくい身体の状態をつくることを目指しました。
特に重視したのは、次の点です。
- 首や肩周辺の筋緊張を和らげる
- 前方頭位を少しずつ修正する
- 猫背と巻き肩を改善する
- 骨盤や背骨の動きを整える
- 肩甲骨や股関節を動かしやすくする
- 腹部の緊張を和らげ、呼吸しやすい状態をつくる
- デスクワーク時の身体の負担を減らす
頭痛の経過だけでなく、姿勢、呼吸、首の可動域、筋肉の緊張などを毎回確認しながら施術を進めました。
施術内容
背骨・骨盤周辺への施術
最初にうつ伏せの状態で、身体の中心となる背骨や骨盤周辺の状態を確認しました。
DRTを応用した軽い揺動刺激によって、背骨や骨盤周囲の筋肉の緊張を和らげ、身体全体が動きやすい状態を目指しました。
強い力で骨を押したり、急激にひねったりするのではなく、身体の反応を確認しながら無理のない刺激で行いました。
股関節・肩甲骨周辺への施術
次に横向きの状態で、骨盤周囲の筋肉を緩めながら、股関節の位置や動きを整えました。
同時に肩甲骨周辺の筋肉に対する施術を行い、肩甲骨の動きを妨げている筋肉の緊張を和らげました。
骨盤、背骨、肩甲骨の動きを連動させることで、猫背や巻き肩の改善を図りました。
足首と下肢への施術
足首や下肢にも緊張と動きの左右差がみられたため、足首の位置や動きを確認しながら調整しました。
立っているときや歩いているときの土台となる足元を整えることで、骨盤や背骨にかかる負担の軽減を目指しました。
腹部への施術
腹部周辺は強く緊張し、呼吸が浅くなっていました。
そのため、腹部を強く押すのではなく、呼吸に合わせた穏やかな施術を行い、胸郭や腹部が動きやすい状態を目指しました。
頚部・後頭部への施術
最後に、首の動きや症状を確認しながら、頚椎と後頭部周辺への施術を行いました。
特に緊張が強かった後頭下筋群に対しては、強く押したり急激に動かしたりせず、深部の筋肉が緩みやすいように刺激量を調整しました。
後頭下筋群と頚椎周辺には、硬膜との解剖学的な連結が報告されています。
この部分への施術によって脳脊髄液の循環が改善し、頭痛そのものが治ると断定することはできませんが、当院では、この部分の施術に力を入れており、多くの方に喜んでいただいているという自負はあります。
上記の内容に加えて、今回の施術では、後頭部と頚部の過度な筋緊張を和らげ、首を動かしやすくするとともに、頭を支える負担を減らすことを目的としました
初期の来院頻度
施術開始当初は、身体の緊張が強く、月に4~5回ほど頭痛が起きていたため、週2回のペースで来院していただきました。
頭痛の有無だけでなく、次の点も毎回確認しました。
- 頭痛が起きた日
- 頭痛の強さと続いた時間
- 吐き気やめまいの有無
- 薬を服用した回数
- 首や肩のこり
- 睡眠時間
- 仕事中の姿勢
- 天候や体調との関係
身体の状態が少しずつ安定してきたため、その後は週1回のペースに変更しました。
施術開始から約1か月後
週2回から週1回の施術を続け、施術開始から約1か月が経過した頃には、ご本人の申告では、月に4~5回起きていた頭痛が月1回程度に減っていました。
また、
「頭痛薬を服用する機会が、ほとんどなくなりました」
と喜ばれていました。
ただし、頭痛薬の使用については、施術者の判断で中止や変更を指示することはできません。
処方薬の使用方法を変更する場合は、処方した医師へ相談していただくようお伝えしました。
施術開始から約2か月後
その後も、さらに約1か月間、週1回の施術を継続しました。
この期間は頭痛が起きず、首や肩の緊張、姿勢にも変化がみられました。
前方へ出ていた頭の位置が少しずつ整い、巻き肩や猫背姿勢も初回来院時より軽減していました。
身体の状態が安定していたため、来院頻度を月2回へ変更しました。
月1回のメンテナンスへ移行
月2回の施術でも頭痛が起きない状態を維持できたため、翌月から月1回のメンテナンスへ移行しました。
メンテナンスでは、症状が出ている部分だけでなく、再び首や肩へ負担が集中していないかを確認しました。
特に、デスクワークや車の運転によって起こりやすい次の変化に注意しました。
- 頭が前へ出ていないか
- 肩が内側へ巻き込んでいないか
- 肩甲骨の動きが低下していないか
- 呼吸が浅くなっていないか
- 骨盤の位置に左右差が出ていないか
- 首や後頭部の筋肉が硬くなっていないか
メンテナンス中の頭痛
月1回のメンテナンスへ移行して2か月目に、再び頭痛が起こりました。
ご連絡をいただき、予定を早めて来院していただきました。
身体の状態を確認したところ、首や肩、後頭部周辺の筋緊張が強くなり、姿勢にも以前の癖が現れていました。
そのため、全身の状態を調整し、翌週にも続けて来院していただきました。
その後は再び身体の状態が落ち着いたため、月1回のメンテナンスへ戻しました。
現在の状態
現在まで、ご本人の申告では頭痛は起きていません。
首や肩の強いこりも以前より感じにくくなり、仕事や家事、育児にも大きな支障は出ていないとのことです。
月1回のメンテナンスでも状態が安定しているため、次回からは2か月に1回のメンテナンスへ移行する予定です。
ただし、来院間隔を延ばした後も、頭痛や吐き気、めまいなどの症状が再び現れないか、慎重に経過を確認していきます。
院長からのアドバイス
今回の方は、中学生の頃から肩こりがあり、月に4~5回ほど頭痛を繰り返していました。
頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、その他の病気に伴って起こる頭痛など、さまざまな種類があります。
そのため、姿勢が悪い、首がこっているという理由だけで、頭痛の原因を決めつけることはできません。
一方で、長時間のデスクワークや車の運転によって前方頭位、巻き肩、猫背姿勢が続くと、首や肩の筋肉に負担が集中することがあります。
今回の方には、次のような状態が重なっていました。
- 頭が前へ出た姿勢
- 巻き肩と猫背
- 後頭部から肩にかけての強い筋緊張
- 骨盤や背骨の左右差
- 肩甲骨や股関節の動きの低下
- 全身の筋緊張
- 浅い呼吸
そこで、痛みを感じる首や後頭部だけでなく、骨盤、背骨、股関節、肩甲骨、腹部まで含めて施術を行いました。
施術開始後は頭痛の回数が減り、一時的な再発はあったものの、再度身体の状態を確認して対応することで、現在は症状が落ち着いています。
ただし、今回と同じ施術を行えば、すべての方の頭痛が同じように軽減するわけではありません。
症状の種類や原因、生活環境、施術への反応には個人差があります。
また、次のような症状がある場合は、施術所で様子を見続けず、速やかに医療機関へ相談してください。
- 突然起こった、これまでに経験したことのない激しい頭痛
- 短時間で急激に強くなる頭痛
- 手足のしびれや力の入りにくさ
- 言葉が出にくい、意識がもうろうとする
- 発熱を伴う頭痛
- 激しい嘔吐
- 視界の異常
- 頭を強く打った後の頭痛
- 頭痛の回数や強さが急に変化した
- めまいが強く、立ったり座ったりできない
当院では医療機関での治療や服薬を否定するのではなく、必要な医療を受けていただきながら、姿勢や筋肉、関節の状態を確認し、日常生活での負担を減らすための施術を行っています。
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